スキャパはアイランド・モルトにしては珍しく、ノン・ピーテッド麦芽を使用しています。アイランド・モルトの最大の特徴はピーテッド麦芽であるとされている中、スキャパの創始者達は明らかに異なる道を模索していたのでしょう。原酒に含まれる、より繊細な風味を引き立てるためにノン・ピーテッド麦芽を使用したのだと考えられています。
スキャパ蒸溜所の樽貯蔵庫は海の近くにあるため、庫内には磯の香りが充満しています。ウイスキーは、樽の中で熟成している間、アルコール分が少しずつ蒸発し、新鮮な潮風にとって代わられる、つまり密やかに呼吸を行っています。この呼吸により、スキャパには、微かな潮の風味やドライな後味という特徴が生まれるのです。
初溜釜は、現在ではめったに見られなくなったユニークな形のローモンド・スチル。円筒の独特なこの初溜釜を使用することで、ライトでエレガントな味わいのモルト原酒が生まれます。
バニラのような滑らかな甘さを引き出すために、熟成にはアメリカンオーク樽を使用します。その樽はスキャパの熟練された目利きによって、もっとも適したものだけが選ばれます。
特にスキャパSKIRENの熟成にはファーストフィルのアメリカンオーク樽を使用しており、セカンドフィルと比べてより豊かなバニラの香りが授けられます。
このファーストフィルとは、バーボンなどの熟成に使われた樽を初めてスコッチの熟成に使用することです。2回目に使用することをセカンドフィルと言います。
スキャパ蒸溜所はオークニー諸島のメインアイランドにあるとても小さな蒸溜所です。最近では製造・品質管理をコンピュータでおこなう蒸溜所も増えてきましたが、スキャパ蒸溜所では全5名のクラフトマンたちが、コンピュータを使わず、今もハンドメイドですばらしい原酒を作り出しています。